名刺の作り方
今回作った名刺は、自分でデザインを作成し、データ入稿という形で印刷屋さんに発注を行いました。
名刺のデザインを作成するには、一般的にはAdobe社のIllustratorを使用します。
が、Illustratorを新規で購入するほどの経済的余裕がありません。 orz
そのため、今回はInkscape(http://www.inkscape.org/)というopen source softwareを使用してデザインを作りました。
また、名刺に画像を入れたため、画像の調整用にGIMP(http://www.gimp.org/)を使用しています。
続きに具体的な手順を掲載します。
注意事項
いきなり注意事項です。あらかじめいくつかのことを確認しておく必要があります。
- 名刺サイズ
- 印刷屋さんによっては標準の55[mm]×91[mm]しか対応していない場合があります。
- 紙質
- 印刷屋さんごとに使用する紙が異なります。
- 加工
- 特殊な形状の名刺を作成する場合、追加で加工が必要になりますが、対応していない印刷屋さんがあります。
- 価格
- 紙質や色数によっても変化しますが、印刷屋さんによってもだいぶ変わります。
- 入稿データ
- 一般的にはIllustrator(*.ai)形式での入稿になります。今回はEPS/PDFでの入稿を行いましたが、印刷屋さんによってはIllustrator以外で作成されたデータを取り扱っていません。
- ひな形の有無
- 印刷屋さんによっては、既定のひな形が用意されており、それに合わせてデザインを作成する必要があります。
- トンボ
- 印刷屋さんによってはトンボの有無や、形状などが指定されています。
- 所要時間
- 印刷屋さんによっては、日対応して頂けるところもあるようです。今回は特に時間は気にしていません。
手順
名刺が手元に届くまでの大まかな流れは以下のようになります。
- 環境作り
- 印刷屋さん下調べ
- ひな形入手(ひな形が用意されている場合)
- イメージ作り
- 画像収集
- 画像加工
- Inkscapeでデザイン作成
- 外形枠
- トンボ
- 背景
- 文字
- 文字のアウトライン化
- EPS/PDF化
- 発注
- 校正
- 印刷
- 配送
以下、各手順の詳細です。
環境作り
Ghostscriptのインストール
Ghostscriptを以下のサイトからダウンロードします。
Ghostscript download | SourceForge.net
なるべく最新版を使用するのが良いと思います。
Windows版にはインストーラがついていますので、ダウンロード後はインストーラの指示に沿ってインストールします。
これがないとInkscapeでEPS出力ができません。
GIMPのインストール
GIMPを以下のサイトからダウンロードします。
http://gimp-win.sourceforge.net/stable.html
こちらも最新版を使うのが良いでしょう。
インストールもインストーラに沿ってインストールすればOKです。
Inkscapeのインストール
Inkscapeを以下のサイトからダウンロードします。
Download Inkscape 0.92.4 | Inkscape
こちらも最新のものを入手してください。
Inkscapeはまだメジャー版がreleaseされていませんが、現状のものでもそれなりに使えます。
インストーラがありますので、特に何も考えずにインストールしてしまって良いでしょう。
印刷屋さん下調べ
ひな形入手
必要があれば印刷屋さん指定のひな形を入手しておきます。
イメージ作り
完成時の大まかなイメージを作ります。
頭の中にイメージを描いても良いですし、紙にスケッチをしても良いでしょう。
文字の大まかな配置や配色、文面などを考えます。
他にも画像を挿入するのであれば、どのような画像が良いかも考えます。
画像収集
↓のサイトなどを参考に、イメージにあう画像を探します。
ロイヤリティフリーの写真画像を簡単に探すことができる -Cyclo.ps. | コリス
http://blog.creamu.com/mt/2008/07/2525_free_stock_photo_sites.html
Inkscapeでデザイン作成
外形枠
名刺の外形枠を書きます。標準サイズの名刺であれば、55[mm]×91[mm]ですので、そのサイズの矩形を描画します。
1ページに裏表両面のデザインを作成する場合は、裏表両方の外形枠を描画します。
この際にはトンボを描画するための余白分をとるように裏表のデザインを配置します。
トンボ
裁断用の基準線となるトンボを描画します。
Illustratorであれば自動でトンボを描画してくれる機能がありますが、Inkscapeにはそのような機能はありません。
が、心配する必要はありません。Inkscapeでトンボを自動生成するplug-inが存在します。
http://mistfall.net/minami/dist/inkscape/trimmark/doc/trimmark.ja.html
これを使えばトンボを手書きする必要はありません。
しかしながら、上記ページのplug-inはWindows環境には対応していないのか、plug-inを実行するとエラーが発生してしまいます。
これを回避するには、上記ページからダウンロードしたtrimmark.pyを以下のcodepadに投稿されたcodeに置き換えます。
Python code - 148 lines - codepad
これでトンボの自動生成が行えるようになったはずです。
背景
背景を描画します。白無地のままで良いのであれば、特に何もする必要はありません。
背景や文字などを分けて描画するには、レイヤー機能を使うのが良いでしょう。
名刺の場合は、外形枠やトンボを含めても、多くて3〜5つ程度のレイヤーに分ければ十分だと思います。
外形枠・トンボ・背景・文字・効果といったような感じでいくつかのレイヤーに分けて描画していきます。
印刷屋さんによっては、使用可能な線の太さの範囲や、色に関する規定が存在する場合があります。
あらかじめ確認をして、既定の範囲内のデザインを作成するようにします。
文字
フォントや色を指定して文字を描画します。
ここで描画した文字は、アウトライン化によって最終的には文字ではなくなってしまいます。
そのため、特殊なフォントを使用しても構いません。
ただし、名刺であるため見た目の良さや見やすさなどを考慮して決める必要があります。
また、印刷屋さんによっては、フォントの最低サイズを決めているところもあるため、それを下回るサイズのものは使用しないようにします。
文字のアウトライン化
フォントによっては印刷屋さんで扱えないものがあります。
それらのフォントを使って名刺を作りたい場合は、描画後の文字を図形に変換する必要があります。
これを行うのが文字のアウトライン化です。
印刷屋さんによっては、フォントの種類に依らず、アウトライン化を必須としているところもあります。
Inkscapeの場合はアウトライン化を行う対象の文字を選択し、Ctrl+Shift+Cでアウトライン化が行えます。
もちろんメニューから選択しても良いです。
メニューから行う場合は、[パス]→[オブジェクトをパスへ]と選択します。
発注
あらかじめ決めておいた印刷屋さんに発注を行います。
この段階で印刷屋さんを選んでも構いませんが、ひな形や線の太さなどの規定が印刷屋さんによって異なるため、
事前に印刷屋さんを決めておいた方がスムーズに発注まで進むことができます。
今回私が発注を依頼したのはハンコヤドットコム(http://card.hankoya.com/)さんです。
実は他の印刷屋さんにもお願いしようとしていたのですが、Inkscapeで作成したデータであることを伝えると、
うちでは取り扱いできませんと断られてしまいました。
ハンコヤドットコムさんでは以前にInkscapeで作成したデータを扱ったことがあるようで、
今回私が作成したデータも扱って頂けました。
校正
印刷の前に、印刷屋さんの方で手直しをしたデータを提示してもらえます。
以前に一度作成したことのあるデータであれば、特に校正の必要はないとは思いますが、
初めて作成したデータだったり、気になる場合には校正をお願いした方が良いでしょう。
印刷
校正が終われば後は印刷です。
印刷屋さんによっては、試し刷りをしてくれるところもあるため、もし可能であれば試し刷りをお願いするのも良いでしょう。
配送
果報は寝て待てということで、無事に到着してくれることを祈って待ちましょう。
これで自分でデザインした名刺が手元に届くはずです。
ぜひみなさんも世界に一つだけの自分の名刺を作ってみてはいかがでしょうか。